モバイルバッテリーのオートパワーオフを回避して軽負荷でも常時出力させる方法
ダイソーの10,000mAhのモバイルバッテリーで回路を動かそうとしたんだけど、数十mA程度の軽負荷だとすぐに切れてしまいます。
どうもオートパワーオフという機能が搭載されていて、軽負荷だと何も接続されていないと判断して自動で切れてしまうようです。
今回は、このオートパワーオフを対策してバッテリーのスリープを防止してみたいと思います。
ダイソーのモバイルバッテリーを分解
どういう仕組でオートパワーオフされているのか調べるために、まずは分解してみました。
ICは下記の2つが搭載されています。
型番 | メーカー | 機能 |
---|---|---|
IP5306 | INJOINIC TECHNOLOGY | バッテリー充電&昇圧出力 |
XB4908 | XySemi | バッテリー保護 |
オートパワーオフ制御を行っているのはIP5306です。
オートパワーオフの仕組みと対策
ボタンを押すと、何も接続していなくても30sくらいは出力がオンになり、その後自動的にオフしています。
IP5306のデータシートを見てみると、45mA以下が32s間続くとオフするとなっています。
もう少し細かい仕様も確認すると、
- ボタン押下の判定は、50msより長く、2s未満
- 2s以上の長押しではオフさせる
- 50ms未満のアクションには反応しない
- 1s以内に2度押しするとオフ
となっていました。
ICの5pinにタクトスイッチが接続されていて、この端子の電圧、または電流を監視してボタンアクションを判定しているようです。
また、「キーが不要な場合は5pinをフローティングにすればよい」と書かれていたのですが、オープンにすると常時オフになりました。
対策方針
オートパワーオフ対策の方針はこんな感じ。
- タクトスイッチをMOSFETに置き換える
- MOSFETを周期的にオンオフさせる
- 0.25Hz~0.5Hzの間の矩形波でMOSFETを制御
ボタン押下と認識される十分な長さであり、長押しとは判定されないように2s以下のLow期間となるようにします。
オートパワーオフキャンセラーを自作
回路改造の内容は次の通り。
スイッチと並列にNch MOSFETを追加します。
パルス発生回路からは、約0.33Hzの矩形波が出力されていて、NMOSをオン・オフさせます。
これで、周期的にスイッチを押下するアクションを模擬できています。
パルス発生回路はこちらの記事で紹介したものを使っています。
この回路で無負荷状態でも常時オンできることが確認できました!